進化し続ける臨床研究において、リアルワールドデータ (RWD: Real-World Data) とリアルワールドエビデンス(RWE: Real-World Evidence)は、臨床以外の様々な情報源から収集した豊富な情報をもたらす強力なツールとして登場しました。 

無作為化比較試験(RCT: Randomized Controlled Trials)などの新たな診療行為の効果を測定する従来の手段とは異なり、RWEは実世界の状況における利点に関する洞察を提供します。私たちと一緒に、RWEの利点と課題を探りながら、その可能性を活用して患者さんの転帰を改善することを検討しましょう。 

 


 

リアルワールドエビデンスの利点 
 

「RWEは、医療製品の使用および潜在的な利益やリスクに関する臨床的な証拠であり、RWD(実世界のデータ)の分析から得られる。」 とFDAによって定義されています。これにより、臨床研究の効果を高めるさまざまな利点を提供します。 

電子カルテ、請求データベース、患者登録などの 「実世界」 のデータを活用することで、研究者は多様な患者集団を包含する大規模なデータセットを分析することができます。さらに、より複雑なデータ管理方法によって強化されたこの幅広いタイプのデータにより、不特定多数の人々を含む治療結果の包括的な理解が可能になります。 

Fang Liu と Demosthenes Panagiotakos さんはこう述べられています、 「従来の臨床試験のコストの上昇や限界が認識されていることもあり、 RWD の利用しやすさの向上によって、臨床研究や発見の効率を高め、臨床研究と実践の間のエビデンスギャップを埋めるためにRWDを利用することが、大きな関心を得ています。」  

RWEは現在、臨床試験デザインの基礎として頻繁に活用されており、知識のギャップを特定し、より効率的で患者中心の研究プロトコルの開発に貢献しています。また、RWEは医薬品の販売後の状況をモニタリングすることを可能にし、長期的な安全性や治療効果、実世界での比較効果に関する洞察を提供します。さらに、薬事申請をサポートし、エビデンスに基づく意思決定を促進し、患者さんに新しい治療法を迅速に提供する可能性があります。

リアルワールドエビデンスの課題 

RWEは非常に大きな可能性を秘めていますが、課題も存在しています。様々な情報源から収集されたデータは、完全性や正確性のレベルに差があるため、データの品質は重要な懸念事項となっています。Viedoc Technologiesの共同設立者であるSverre Bengtssonは、「特に、RWEを使用することは複雑です。なぜなら、データは多くの国や地域から収集されるため、治療の慣習が非常に異なる可能性があり、現地でどのようなデータが収集されるかも異なるからです。」と述べています。 

マッキンゼー・アンド・カンパニーはこう論じています。「データの複雑性により、RWEの適用や有用性を制限する可能性のあるデータ品質の課題も複数発生しています。たとえば、データの偏りや他の基本的な品質の問題は検出が難しく、そのようなデータから得られる洞察を制限する可能性があります。さらに、高度な分析の導入は、それ自体に特有の問題を提起しています。」 

偏った結果を避けるためには、実世界のデータの信頼性と完全性を確保することが最も重要です。また、研究者は、観察データに固有の交絡因子やバイアスが結果の解釈に影響を与える可能性があることを認識し、それらを適切に考慮する必要があります。さらに、実世界では無作為化が行われていないため、因果関係を確立することや測定不能な交絡因子の影響を軽減することに課題があります。 

これらの課題を克服するためには、RWEの信頼性を高めるための厳格な方法論、高度な分析技術、堅固なバリデーションプロセスが必要です。

RWEと従来の手法の違い

RWEと従来の方法であるRCTなどの慎重にコントロールされた設定を使用して介入の有効性と安全性を評価する方法との違いを考慮することは非常に重要です。RWEは実際の患者さんの体験から収集したデータを分析するものです。RCTは高い内部有効性を提供しますが、RWEは日常の医療現場で遭遇する状況を反映し、より高い外部有効性を生み出すことができます。 

RWEは従来の手法を補完することで、管理された研究環境と現実の複雑な状況とのギャップを埋めることができ、治療効果と患者の経験についてより総合的な理解を得ることができます。

成功事例

臨床研究において、RWEがもたらす変革的なインパクトは、数多くの事例によって明らかにされています。たとえば、RWE解析は医薬品の長期安全性プロファイルに焦点を当て、RCTで見逃されていたかもしれない稀な有害事象に関する洞察を提供しました。 

精密医療の分野において、RWEは遺伝子マーカーや臨床的特徴に基づいて、特定の治療によく反応する患者のサブグループを特定するのに役立っています。 

さらに、RWDは試験への参加を革新するために活用することができます。参加とエンゲージメントに関する障壁を取り除くことは、患者のエンゲージメントを成功させる上で不可欠です。 

Viedocでは、プラットフォームを直感的に設計し、データを魅力的で楽しいものにすることを心掛けています。患者さん向けのスマートな機能や日常的な通知機能は、一貫したタイムリーな方法によるデータの報告を促します。また、患者さん、責任医師、スポンサー間のリアルタイムなコミュニケーションを促進し、コラボレーション、信頼、長期的な取り組みを育む環境を提供しています。 

RWEの可能性を最大限に活用することで、研究者は革新的な治療パターンを発見し、治療戦略を最適化し、医療の質のばらつきを軽減しています。これらの成功は、実践的なエビデンスを提供し、エビデンスに基づいた意思決定を進めることで、患者さんの転帰を改善することにつながっています。 

「RWD/RWEは、疾患の自然な進行を理解するために活用できます。」 とSverre Bengtssonは補足します。 「これは、無作為化比較試験の設計や適切なエンドポイントの特定に役立つ情報です。治療群の設定や患者さん見つける場所の特定、研究対象疾患の健康経済学を理解するための貴重な手がかりとなります。」

新たなアプローチへのパラダイムシフト 

RWEは、治療成果に関する包括的な洞察を提供し、承認後のモニタリングを強化し、エビデンスに基づく意思決定をサポートすることが期待されます。しかしながら、データの質、データの偏りや解釈にともなう課題に取り組むために、慎重な検討と手法についての厳密さが必要です。 

従来の手法にRWEを取り入れることで、研究者は貴重な洞察を明らかにし、管理された研究環境と実世界の間のギャップを埋めることができます。 

「RCTの厳密性や、非常に面倒なプロセスにまだ慣れていない施設にとって、Viedocは素晴らしいeClinicalシステムです。」 とSverre Bengtssonは締めくくります。 

臨床研究においてRWEの可能性を最大限に引き出す準備は整っていますか? Viedocのデモを今すぐリクエストし、RWEを活用してより良い洞察と結果を得る方法を見つけましょう。